[書評]ハライチ岩井勇気によるエッセイ集!日常に潜むありふれた事件とは?

小説・エッセイ

今回書評していくのは、ハライチ岩井勇気の書籍、「僕の人生には事件が起きない」です。

岩井さんの感性や人生観、面白い発見を目の当たりにするでしょう。人間味溢れる楽しい作品です。

内容説明

ハライチ岩井の違和感、疑問とは

段ボール箱をカッターで一心不乱に切り刻んだかと思えば、組み立て式の棚は完成できぬまま放置。

「食べログ」低評価店の惨状に驚愕しつつ、歯医者の予約はことごとく忘れ、野球場で予想外のアクシデントに遭遇する……

事件が起きないはずの「ありふれた人生」に何かが起こる、人気エッセイ集! 自筆イラストも満載。

日常に潜む違和感に狂気の牙をむく、ハライチ岩井の初エッセイ集!自筆イラスト満載!

著者について

好きなこと、特技は…

岩井勇気(いわい・ゆうき)

1986年埼玉県生まれ。幼稚園からの幼馴染だった澤部佑と2005年に「ハライチ」結成。

結成後すぐに注目を浴びる。ボケ担当でネタも作っている。アニメと猫が大好き(写真は飼い猫のモネ)。特技はピアノ。本作が初めての著書になる。

気になった言葉

日常に潜む変革のヒント…

日常生活に違和感や疑問を持ち、想像を巡らせる。

何も起こらず過ぎてゆく毎日も、見方を変えれば何かに気づくことがある。

日常に潜む違和感、疑問を想像し、自分なりの推測をする。そうすれば、何も起きていないはずの日常に、何らかの事件が起こっていることに気づく。普通に生活していれば何にも気づくことはないが、意識して生活すると、意外と気づくことが多い。

何事も自分次第なのではないか、そう思わせてくれる。楽しくないと思う日々も、退屈な日常も、すべては自分が日常に違和感を抱いていないから、現実を変化させようと疑問を持たないから。

反対に、違和感や疑問を持つだけで、見える世界が大きく変わるかもしれない。何もない日常をそのままで終わらせたくない、そう思える。

自分の人生を、山あり谷あり、波乱万丈です、と誇張するのが苦手。僕の人生は波乱万丈じゃない。

芸人という職業柄、自分の過去を面白おかしく話すことを期待される。しかし、嘘をつく必要はないし、話を盛るのも違う。引き出すほうも、引き出されるほうも、不穏な空気が流れる。

人間は都合の良い生き物で、勝手にストーリーを作ろうとする。他人を勝手に評価している自分がいるかもしれない。自分のものさしでしか他人を見れないと、他人にとっての普通が受け入れられなくなる。

それでは単なる自己中心的な考えである。人それぞれの生き方、人生がある。そしてそれぞれに、価値観や考え方があり、魅力がある。自分の人生は、誰かの人生ではない。比較対象もないし、正解もない。

自分の人生に誇りと自信を携えて生きていく。それが、強く生きるということ。

日常生活に、いつもやらないことを少し加えるだけで、全然違う風景に見える。

人間は慣れてしまう生き物だ。安定を求める生き物だ。だから、ありふれた日常生活に、不満や退屈を抱くようになる。自らが選択した毎日に、自ら飽きるのだ。

しかし幸いなことに、人間は新しいものに出会うと、再び芽を出す。日常が、非日常になったとき、その新鮮さに興味を惹かれる。

だから、日常生活に変化を加えることで、いつもと違う風景を見ることができる。その変化は、自身の不満や退屈さを晴らしてくれる手助けになるかもしれない。

いつでも変化のカギを握っているのは、自分自身だ。いつもやらないことを少し加えるだけで、小さな変化を起こすことは可能だ

人は夢中になれるものがあると幸せになれるが、飽きることを知らないと進化できない。人は飽きることで、前進している。

人間は依存する習性がある。興味があること、好きなことなどに夢中になると、幸せを感じるものである。夢中になれることがあるのは、素晴らしいことである。

しかし、こうも考えられる。同じことばかりに夢中になり、他のことに興味を示さないことで、自身の成長を止めてしまっているという考え方。多くの機会、経験、出会いがあることで、人は経験値をためていく。その経験値を頼りに、様々な選択を繰り返し、前進して成長していく。

ひとつのことばかりに固執し、夢中になることで他の経験をする機会が少なからず減少している。経験してから、興味がないなら止めればよい。

多くの経験をして、その度に飽きて、他の経験を求め、前進していく。これこそが人間の本質であり、人間として成長していることを実感しやすい。

感想

自分の感性を大切にしよう

人間はどこか、誰かに似せようとしているのかもしれない。

この人は私と近い人間、あの人は私とは遠い人間。勝手に自分の中で距離感をつくり、誰かと照らし合わせて、自分を安心させている。だからこそ、引き込まれる世界観があり、共感できる日常があるだろう。

それは自分を守るためでもあり、他人を守るためでもある。人間は誰でも、合う人と合わない人がいる。合わないのに無理やり時間を共有する必要はないし、変に気を使う時間はできれば取りたくない。

合わない人に会わないことは、人間関係を構築する上で大切な価値観である。

だから、人間は「見た目」という外見でコミュニケーションをはかっているのかもしれない。

容姿や服装、表情、振る舞いには、人間の内面は表れる。自分の思考や価値観が、自分の外見をつくっている。

つまり見た目で、その人が自分に合うか合わないかの大体の判別を可能にしている。

真面目そうな見た目をしていれば、真面目そうな人と合うし、陽気そうな見た目をしていれば、陽気そうな人と合う。

岩井さんの書籍を読む人は、どこか岩井さんの印象と、自分を重ね合わせることができる部分があるのだろう。なんとなく似ている、自分は岩井さんのような性格だと。

でなければ、テレビに映る岩井さんのイメージから深く中身を知ろうとしない。あの表舞台で表現される外見の中身を知りたいということは、勝手に中身はこんな感じだろうと、想像している読者がいることになる。

読みたくて読む本には、共感が多い。この本も、その本のひとつ。岩井さんの中身、つまり、中身を形成する感性や価値観を知りたいと思うからこそ、この本を手にするのだ。

本書では、僕の人生には事件が起きないという観点から、日常に事件が起きたかのように感受する面白さを交えている。

奥が深い人間の感性は非常に面白い。表現や語彙というよりも、文章から想像することで浮き彫りになる情景や現場が、いかに日常に潜んだ小さな笑いを生み出しているかが分かる。

人それぞれの感性があり、価値観があり、魅力がある。そんな人たちが集まるこの世界は、たくさんの笑いと、たくさんの幸せで溢れている。

日常に笑いや幸せを見い出せない原因は、もちろん周りの環境は影響しているが、実際は、自分が見ている世界の色が問題かもしれない。

色眼鏡で世界を見ていると、どうしてもその色に執着して、本来の色を見失うだろう。

きっと、眼鏡を外せば本来の色を認識できる。その色を見ることで、今まで自分が見い出せなかった感性や感情を、呼び起こすことが可能になるかもしれない。

一度、色眼鏡を外してみよう。俯瞰的な生活を送ってみよう。意識して、物の色を判別しよう。きっと違う世界が、見えてくる。

感性には、正解も、優勢も、順位も、絶対も、基準もない。自分の感性が、自分だけの自分らしい人生を提供してくれる。

だから、自分の感性に自信を持つ。みんな違って当たり前。同じ方が珍しい。だから、みんな違う分、他人の感性を理解し、尊重する姿勢が大切。自分が他人に迷惑をかける分、他人の迷惑も許してあげよう。

この世界は、まだまだ知らないことが多い。少しでも、世界を知るために、感性を研ぎ澄まそう。自分には自分だけの武器がある。それが、自分だけの感性。

自分が感じることは、全て自分の血となり肉となる。自信を持って、この世界に存在し続けよう。

オススメ層

岩井さん好きな人など…

岩井さんのような性格に近い人には存分に楽しめる内容だと思います。小さな幸せや、小さな笑いを実感できる。そんな日常に起こりうる’事件’をどうか楽しんで生きていたい。

  • 岩井さんが好きな人
  • 目立ちたくない人
  • 小さな笑いや幸せを見つけたい人
  • 自信を持てない人
  • エッセイが好きな人
  • 新しい価値観を知りたい人

などにオススメです。本を読む理由、目的を持っていれば必ず、学べることや新しい発見があります。この本も、何かの気づきや新しいことを見つけるきっかけになる、そんな一冊です。

終わりに

合う人に会う人生でいい

いかがでしたか。ハライチ岩井さんによる書籍でした。

人間の内面は、なんとなく見た目で分かるような気がします。だから、見た目でこの人は話が合いそうとか、いい人そうだな、というように感じるのだと思います。

外見というのは、一種のコミュニケーションであると学んだことがあります。自分の内面をつくる価値観や思考が、自分はこのような考え方をしていますと、外部の人に外見でコミュニケーションをはかっているのです。

全く知らない人でも、服装がお洒落な人であったら、服に興味があるという情報が伝達します。このように、視覚や聴覚、触覚など、人間は無意識のうちに他人とコミュニケーションをとっているのです。

ですから、この本の読者は、テレビに映る岩井さんや、岩井さんの言動を見てコミュニケーションをとり、どこか共感する気持ちが芽生え、手に取るというわけです。

興味がない人を知ろうとは思わないはずです。自分と似ている部分があるからこそ、興味を持つのです。

オードリーの若林さんはこのような表現をしていました。

「合う人に会う」

周りのすべての人と同じような接し方をしなくてもいいのです。他人との距離感は、自分の好きなように決めてもいいのです。好きな人と嫌いな人がいてもいいのです。

必ず、自分に合う人はいます。合う人に会う人生は、より豊かにしてくれるでしょう。是非この考え方を是非頭に入れて、人生を歩んでみてください。

以上になります。最後までお読みいただき、ありがとうございました。