[ブログ] 「翔んで埼玉」を映画館で見た時のことを、ふと思い出した話。

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ふと、あの時の記憶が蘇った。

GACKTと二階堂ふみがダブル主演の実写映画、「翔んで埼玉」を見た時のこと。

あれは、なんと呼ぶべきだろう。空気感というか、雰囲気というか、本当に最高だった。

映画が終わり、明るくなった時のあの爽快感。映画を見終えて、あそこまで余韻に浸った瞬間が過去にあっただろうか。いや、ない。

最高に面白かったという感想だけでは片付けられない。あの映画は、笑いや共感を超えた大きな価値を、伝えてくれたような気がする。

埼玉県民にとっては、最高に痺れる作品。自虐しながら、それを受け入れ笑いに変えてしまう国民性を持つ埼玉人。なんと素晴らしい人間性だろうか。

埼玉は何もない。魅力もない。

でもみんな知っている。埼玉には何もないことを知っている。埼玉県には、目に見えない価値や誇りがある。日本だけでなく世界に誇れる素晴らしい県なのだ。

そんな埼玉県民は、ほとんどの人がこの映画を見たはずだろう。関東圏に住む人も、ギリギリ笑いポイントを理解できる人がいたと思う。ただ、埼玉県民にとっては、笑いポイントはジャストミートである。

共感の嵐。会場は笑いに包まれ、和やかなムードが漂う。映画館が大きく、人数もたくさんいたことで、より空気感の渦が大きく感じた。笑うポイントはみんな一緒。同じことを思っているのだ。

笑える映画は、映画館の雰囲気がいい。ひとつの国になって、自分が笑うことで周りに自分の存在を知らしめているような感覚になる。笑っても平気で許される空気、笑うことで、お互いがコミュニケーションをとっている風にも捉えられる。

周りは知らない人たちばかりなのに、同じ映画を見て、同じポイントで笑って、同じような表情をする。みんなざわざわしたり、急にしんみりしたり、揃えて手を叩いて笑ったりする。

ひとつの作品が、見ている人たちを繋いでいた。知らない人という壁を超えて、気づけば同士のように、同じ目的を持っているかのように、映画を最後まで見届けようとしているように感じた。

つまり、「一体感」が凄かったのだ。

雰囲気や空気感というものは、感情に大きく影響する。

映画館は静かにする場所、他のお客さんに迷惑をかけないようにする、そのような認識がある。

もちろん、笑うことや泣くことを制限することはなく、常識の範囲で映画を見るというもの。

ただ、翔んで埼玉はこの常識の隔たりを綺麗になくしていたように感じた。

思いっきり笑っていい、縛られなくてもいい、そういう雰囲気が漂っている風に感じた。

隣にいる人は知らない人だけど、喋りかけられるような気がした。

映画が終わった後、みんなの表情が明るかった。自分も笑っていただろうし、会場全体がそのようなムードになっていた。笑いの余韻が、館内に充満していた。

映画館を出るのが寂しくなった。

「みなさん、お疲れ様でした!楽しかったですね!」

なんて言って笑いをとれると思うくらい、みんなの他人意識が緩くなっていた気がした。

すれ違う人に、「どちらにお住まいなんですか?あ、そこの地名出てましたね笑」と言えるくらい、みんなが知り合いのように思えた。

ここまで会場が一体となって、和やかな雰囲気が館内に充満することなんて、今までなかった。

だから、驚きを隠せなかった。

友達と3人で見に来た映画。いつしかその映画は、3人だけでなく、もっと大勢の人と一緒に見に来ていたと思えた。

余韻が抜けなかった。しばらく、席から立てなかった。帰り始める人たちをみて、喋りかけようかななんて思った。今ならいけそうだと、友達も言っていた。

本当に不思議な感覚だった。一体感の力に、魅了された。言葉では説明できないあの雰囲気、空気感、一体感。

あの場所と、あの人数と、あの人たちがいたからこそつくりだされた空間。1人で同じ映画を見たところで、同じような感覚には陥らない。いくつかの偶然が重なって、生み出された。

内容はもちろん面白かった。埼玉の誇り、たくさん感じられた。

けれどそれ以上に、この映画を通して、「人間の味」を感じることができた。

人間にしかつくりだせない空間。同じ目的をもって集まった人たちは、気づけば仲間になる。そこには壁も障害もなくて、見えない線で繋がっている。

映画に限らず、一体感を感じられることはあるだろう。スポーツもそうだし、ゲームだってそう。同じ目的を持つ同士のつながりは、強い。

今でもあの時の映像を覚えている。間違いなく今まで見た映画の中で一番、余韻が凄かった。一体感を身体中で感じていた。

これからも、そんな経験があるといい。一人ではできないこと、たくさんあると思う。

誰かと協力してなにかをつくりあげる。「協力は強力なり」という言葉は、本当にその通りだと思う。みんなの意志が一つにまとまった時、大きな力を発揮する。

私はそれを体感した。単なる映画かもしれない。それでも、あの空気感を私は大切にしたい。何かをきっかけに、あの空間をつくりだすことができれば、大きな力を生み出せる。

最高のエンターテインメントだった映画鑑賞は、私にとってこの上ない貴重な経験だ。

「翔んで埼玉」を見て、私は目に見えない大きな価値と、誇りを手に入れた。